更新、拍手レス、日々徒然
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
BBSはいずれ消すので、執筆中に思いついたりコメントいただいて思いついたりして書いたやつをpickup。
>刑事ドラマ『相棒』。伊丹刑事が亀ちゃんに因縁つけてる(?)シーンをみて、こんな求愛行動する鳥がいたなぁと思って、なんとなく。
(ふむ……これが“因縁をつける”というものか)
目の前で肩をいからせる少年を見下ろし、ウォルはいささかのんびりとそんな事を考えた。
所はシッサス、時は夜――この程度の諍いに足を止める者はない。
始まりは肩がぶつかったという話だったはずだ。気分を損ねるような真似をした覚えはないのだが――。
「なめてんのか、てめぇ! でかいと思っていい気になってんじゃねぇぞ! あぁん?」
両手を腰において斜めに構え、顔を歪めて少年はウォルに詰め寄った。睨むなら睨み続ければいいものを、視線を落としては睨み上げるという動作を繰り返す。
いや別にいい気になど――とウォルが答える前に、ぶふ、と妙な音が背後から聞こえた。振り返ってみると、連れである王妃の友人が口を押さえて赤い顔をしている。
「――なぁにを、笑って、いやがるんだ、よ!」
一瞬呆気に取られた少年が、今度はそちらに詰め寄った。背丈はさほど変わらないから睨み上げる必要はないだろうに、言葉を切るごとにやはり顎をしゃくる。
必要以上に身体をゆすって少年がケリーの前で足を止めた途端。
ぶは、とケリーが吹き出した。
「…………ケリーどの?」
なにがそんなにおかしいのか、遠慮も何もない大笑いだ。
「てっめぇ……」
因縁をつけていた少年は当然怒った。拳を握って殴りかかる。
常ならば余裕で避けもしただろうが、あいにくケリーは爆笑中だった。避けきれず、肩口に拳を受けてよろめいてしまう。
「ケリーどの!」
ウォルは慌てて少年を押さえ、一応ちょっと悩んだ。
年端もいかぬ少年を殴り倒すのは気が引ける。だが、ウォルもケリーも脱走中の身だ。騒ぎが大きくなって警備兵に駆けつけてこられては具合が悪い。
離せコラ、と騒ぐ少年に当て身をくらわせ、せいぜい丁寧に道端へ横たえてから、いまだ爆笑中のケリーを引きずってその場を離れた。
足を止めたのは、裏道に入って表通りの喧騒から充分に離れてからだ。
「――悪い。助かった」
ようやく笑いをおさめたケリーに、ウォルは問うた。
「いったい何がそんなにおかしかったのだ?」
気になるのは当たり前だ。ケリーはまだ笑いたそうに口元を歪めている。
いや――と一度言葉を切って、込み上げてくる笑いを飲みこんでからケリーは答えた。
「ああいう仕草を、ナントカいう鳥の求愛行動にそっくりだ、って知り合いが言ってたのを思い出しちまって」
その知り合いに記録映像を見せられた時も、やはり爆笑したのだが。
「こう――羽を広げて、身体を揺すりながら首を上下させるんだが……」
想像してみて、ウォルも思わず吹き出した。
両手を腰に肩肘張って、必要以上に身体を揺すり、繰り返し顎をしゃくっていた少年――確かに、似ている。
「笑えるだろう? そっくりなんだ、これが」
顔を見合わせて、ウォルとケリーは改めて笑い出したのだった。
>刑事ドラマ『相棒』。伊丹刑事が亀ちゃんに因縁つけてる(?)シーンをみて、こんな求愛行動する鳥がいたなぁと思って、なんとなく。
(ふむ……これが“因縁をつける”というものか)
目の前で肩をいからせる少年を見下ろし、ウォルはいささかのんびりとそんな事を考えた。
所はシッサス、時は夜――この程度の諍いに足を止める者はない。
始まりは肩がぶつかったという話だったはずだ。気分を損ねるような真似をした覚えはないのだが――。
「なめてんのか、てめぇ! でかいと思っていい気になってんじゃねぇぞ! あぁん?」
両手を腰において斜めに構え、顔を歪めて少年はウォルに詰め寄った。睨むなら睨み続ければいいものを、視線を落としては睨み上げるという動作を繰り返す。
いや別にいい気になど――とウォルが答える前に、ぶふ、と妙な音が背後から聞こえた。振り返ってみると、連れである王妃の友人が口を押さえて赤い顔をしている。
「――なぁにを、笑って、いやがるんだ、よ!」
一瞬呆気に取られた少年が、今度はそちらに詰め寄った。背丈はさほど変わらないから睨み上げる必要はないだろうに、言葉を切るごとにやはり顎をしゃくる。
必要以上に身体をゆすって少年がケリーの前で足を止めた途端。
ぶは、とケリーが吹き出した。
「…………ケリーどの?」
なにがそんなにおかしいのか、遠慮も何もない大笑いだ。
「てっめぇ……」
因縁をつけていた少年は当然怒った。拳を握って殴りかかる。
常ならば余裕で避けもしただろうが、あいにくケリーは爆笑中だった。避けきれず、肩口に拳を受けてよろめいてしまう。
「ケリーどの!」
ウォルは慌てて少年を押さえ、一応ちょっと悩んだ。
年端もいかぬ少年を殴り倒すのは気が引ける。だが、ウォルもケリーも脱走中の身だ。騒ぎが大きくなって警備兵に駆けつけてこられては具合が悪い。
離せコラ、と騒ぐ少年に当て身をくらわせ、せいぜい丁寧に道端へ横たえてから、いまだ爆笑中のケリーを引きずってその場を離れた。
足を止めたのは、裏道に入って表通りの喧騒から充分に離れてからだ。
「――悪い。助かった」
ようやく笑いをおさめたケリーに、ウォルは問うた。
「いったい何がそんなにおかしかったのだ?」
気になるのは当たり前だ。ケリーはまだ笑いたそうに口元を歪めている。
いや――と一度言葉を切って、込み上げてくる笑いを飲みこんでからケリーは答えた。
「ああいう仕草を、ナントカいう鳥の求愛行動にそっくりだ、って知り合いが言ってたのを思い出しちまって」
その知り合いに記録映像を見せられた時も、やはり爆笑したのだが。
「こう――羽を広げて、身体を揺すりながら首を上下させるんだが……」
想像してみて、ウォルも思わず吹き出した。
両手を腰に肩肘張って、必要以上に身体を揺すり、繰り返し顎をしゃくっていた少年――確かに、似ている。
「笑えるだろう? そっくりなんだ、これが」
顔を見合わせて、ウォルとケリーは改めて笑い出したのだった。
PR
この記事にコメントする