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「女に見えないって? 素敵な美人じゃねぇか。あんたちょっと目がおかしいな」
「いくらなんでも女の形をしていることくらいは分かるぞ? ただなぁ……口説こうという気はさっぱり起きんな」
「王様……」
 呆れたようにケリーはウォルを見やった。
「あんたどんな女だってろくに口説いちゃいねぇだろう」
 言葉に詰まるウォル。
 まあそれはそうだ。
 妻であるポーラだって、リィがお膳立てしてくれなかったらどうなったことか。
「そ、そういうケリーどのはどうなのだ。“あの”ルウどのを女性として口説く気になれるのか?」
「やってみてもいいとは思ってるぜ?」
 まあ、双方の気分だとかその場の雰囲気だとか、一線を越えるのに重要なファクターがぴったり揃う事など、百年待ってもあるかどうかという問題はあるが。
 八つの子供に手を出す趣味は毛ほどもないが、今ならあえて拒否する理由もない。
 そんなところが、キングと王様の違いなのだった。



据え膳は喰う男ケリー。昔男でもまた男になるんでも多分気にしない。
でも相手は天使だから、わざわざ自分から口説くかどうかは状況次第。
ルウはルウで、愛情と性的行為がまったく繋がってないから、誘うかどうかはこれまた状況次第。
で、そんな状況はまず訪れないという。そんなイメージ。
王様は逃げるね! 「俺には妻が……」とか言って。
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